今月の短歌
わたしは毎月、自分だけの「今月の短歌」を選んで手帳に書いています。
あとから見返したら懐かしいだろうなぁと思って。
このブログのそうですが、毎月、毎週、毎日ごとの「何か」を記録するのはとても大事だと思います。
毎日毎日は流れていってしまうから、今日という日を特別扱いできるなにかを残したい。
さて、今月の短歌に選んだのは石川美南さんのうた。
咽喉に穴をあけた子どもがひうひうと音たて歩く砂漠の話
『桜前線開架宣言』というアンソロジーに石川美南さんが紹介されていて知りました。
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短歌は「私」を主語にした、一人称の作品が多いのですが、
石川さんのうたはどれもファンタジックで三人称的。
特に上のうたにあるような、「話」で終わる作品は、どれも短編小説のごとき小宇宙を感じます。
たとえば次のようなうた。
「発車時刻を五分ほど過ぎてをりますが」車掌は語る悲恋の話
コーヒーを初めて見たるばばさまが毒ぢや毒ぢやと暴るる話
内田百閒の短編とか夏目漱石の「夢十夜」のような、
日常と変わりない、と思っていたところに奇怪がしのびこんでくる雰囲気があります。
石川さんの歌集ほしいなあ。
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