きょうも一日が終わる

きれいなものをきれいな文章で切り取りたい。

突破口を

p241
ユアンは、うれしそうに顔を輝かせた。
「一点しか見ないやり方ではなく、その点につながっている広い周囲の在り方を考えてみたいんだよ。〈獣〉の生を見つめることで、これまで気づかなかった〈人〉の生が見えてくるんじゃないかと思うんだ」
上橋菜穂子獣の奏者 外伝』

獣の奏者』という物語の面白いところは、主人公が獣について深く考えを巡らすうちに、人の世の機微に気付いたり、逆に思わぬ視点から獣の謎が解き明かされたり、常に外の刺激を受けつつ物語が進んでいくことだと思っています。
一つを突き詰めることは魅力的だけれど、そこから「解決」は生まれないのかもしれません。
外の刺激を、外の視点をいかに取り入れていくか、そこにしか突破口は見付けられないのでしょう。