きょうも一日が終わる

きれいなものをきれいな文章で切り取りたい。

「立体を作りたくなるね」

今日は算数が苦手な小6の女の子の算数を見る日。
算数が苦手で問題を解く方法をすぐ忘れてしまうけど、試行錯誤をしたり丁寧に計算をするのはとても上手。
さらに絵を描くのが好きなその女の子、Bさんは図形を描くのが上手い。
受験対策を教える身としては「だいたいの図が書ければいいんだよ」と言ってしまいたくなるけれど、キレイで正確の図形を描くのは彼女のこだわりのようだから、いつも黙って見ている。


立体の問題に取り組むBさん。
立方体をいくつか積み重ねた立体の体積や表面積を求める問題。
そこにいくつの立方体があるのか、Bさんは丁寧に一つずつ書き出している。
この問題を速く解くワザは以前にも教えていて、思わず口を挟みたくなるけれど、自力で解ける問題が嬉しそうなBさんの勢いを止めたくなくて横で見守るだけにしていた。
無事、問題を解き終えたBさん。


ふーっと一息をついて「こういうの見ると、立体を作りたくなるね」と私に言った。
立体を作りたくなる感覚、というのを私はあまり持ち合わせていない。
どちらかというと空間把握能力もなければ、立体をどうこうするのも好きではないタイプ。
でも、算数問題を解くのは苦手な彼女の「〇〇したい」という意欲的な言葉にちょっと嬉しくなって、「簡単な立方体の作り方」を披露してみた。
A4用紙を縦に4等分、横に3等分して切り取ると、正確ではないものの立方体の展開図を作ることができる。
「こうやって簡単に作れると、問題解く時に使えたりするよ」
と等分にするやり方だけ教えると、「ちょっと貸して」と切りこみ部分に定規を当てて手で切り取りはじめたBさん。
やっぱりその時の目は問題を解くよりも数倍楽しそう。
「できたー!」と完成した立方体を机の脇に置いて次の問題へ取り組みはじめた。



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マルチインテリジェンス
人が持っている能力は人それぞれだということ。
言葉が得意な人がいる、数的処理が得意な人、体を動かすのが得意な人、音に敏感な人、視覚が特化した人、などなど。
だから、勉強への取り組みも人それぞれであるべきだ、という考え方。
英単語を覚えるのにも、ひたすら書き取りをすると覚えられる人、眺めればいい人、語呂合わせの人、音読する人。
Bさんの場合は、図形や立体、可能ならば数量の問題も「視覚化」していくことだ。
さらに他人が視覚化したものではなく、自分で作り出していく過程こそが、彼女に学びと意欲を与えている。


子どもの「〇〇したい」に耳を澄ませることは大事だなぁと思った日でした。