きょうも一日が終わる

きれいなものをきれいな文章で切り取りたい。

終わる瞬間

いのちとは心が感じるものだからいつでも会えるあなたに会える
俵万智『オレがマリオ』



まだ見ぬ人より今まで出会ったひとたちのほうが大事。
ももう会えなくなる人たちのために生きることは出来ないのだと思うと、かなしくなる。
社会の貧困も戦争をする世界も、ほんとうはどうだっていい。
でも簡単に誰かを殴ってしまう彼のことは心配で心配でしかたがない。
余計なお世話だ。
それでもわたしは彼のためにもっと何かができたんじゃないだろうかって悔恨の思いが止まらない。
「たられば」の話なんて無意味なのだけれど。


「終わる瞬間」ってにがてだな。
終わりへ向かって行くのはほんとうに好きなのに。
わたしはもう彼のために生きることができない。
どんなに素敵な教師になったって、社会のトップに立って教育をカンペキなものに変えることができたとして、彼の小学生としての一年はもう終わってしまったのだ。
そしてわたしはおそらく、もう二度と彼に、彼らに会わないだろう。
「終わる瞬間」のそのときに、わたしは何をしたらいいんだろう。
それがわからない。