きょうも一日が終わる

きれいなものをきれいな文章で切り取りたい。

こういう一日

「ひとを傷つけないようにしようとするのは傲慢」だとあるひとが言っていた。


わたしは何故かささくれ立っていて、今までとこれからを比較してはこれからが不安で仕方なくて、そんな気持ちで横断歩道の前に立っていた。
車が主体の土地だからなのか、右折車はわたしを無視して何台も走っていく。
わたしはとても傷ついていた。
なんで止まってくれないのだろう。このままだと信号が赤になってしまう。都会だったらこんなこと、あり得ないのに。
そんなとき、「ひとを傷つけないようにしようとするのは傲慢」という言葉を思い出した。
右折した車に乗っていた人たちは、自分の行動がわたしを傷つけたことなど思いもよらないだろう。
わたしだって、こんな気分でなければ傷ついたりしない。
わたしの受けた傷の責任のすべてが車に乗ったひとたちにあるなんて思ってない。
でも彼らの行動をきっかけとしてわたしが傷ついたのも事実。
こんなふうにひとは簡単にひとを傷つけられるのだと思った。


たまたま一台の車が止まってくれた。
わたしは一礼して走って横断歩道を渡った。
ひとが簡単に誰かを傷つけられるように、こんなにも簡単に誰かを救えるのだと思った。
そんな一日。